批評空間の条件

amazonはなぜ批評空間になりえないのか、という点について考えてみる。amazonはおすすめ度として5点満点での評点をつけているが、それがランキングとして公開されているわけではない。それゆえ、批評空間になっていないと考える。批評空間としての条件は、

  • 批評しているユーザが識別できること
  • 感想が入力できること
  • 点数が入力できること
  • 平均点でランキングされており、批評者の数も明記されていること

で、いろいろ調べると漫画や映画の批評サイトがいくつか発見できた。
http://www.jtnews.jp/index.html
とか
http://www.manngareview.com/
とか。システムもコミュニティの質も批評空間に比べて劣る。特にコミュニティの質が低いのはなぜか(なぜネタバレ禁止と作品に書かれているもののネタバレをするコメントがあんなに多いのか?)。以下のポイントがあるのではないか。

  • 点数だけをつける人、1行コメントを入れる人、長文コメントを入れる人がいる。
  • 古典の名作を基準として10点をつける人と、自分が感動したから10点をつける人が同じ点数で反映される。

前者はランキングに反映されるべきだし、後者は平均値/中央値や上下10%の切り捨てなどで対応したり、同じ意見を持つ人のランキングを検索可能にすることが対策として取られている。
Point Of Viewという仕組みも便利で、たとえばerogamescapeで「魂の作品」として挙げられている作品は古典の名作を多く含む。新興のランキングに左右されない、玄人のための評価軸、悪く言えばハードルが存在している。
つまり良い批評サイトとは、素人も玄人も自分にあった作品を見つけることができる、というものであり、そのためには批評の基準となる情報を多く用意し、かつハードルの高さを変えることが重要であろう。
素人向けには、多くの人が「見た」作品。次に、多くの人が「いい」と言った作品。次に、多くの人が「言及」した作品。そして、玄人向けには、良い言及をする人が高い評価をする作品。といった段階を作れているか、が、よい批評空間であるか否かの基準だろう。