IT泥世界

http://www.atmarkit.co.jp/news/200807/14/todai.html
客から払われる金は一定、期間も最短なので、品質を高める余裕はないのであった。「品質を・・・金で買ってください・・・それよりもリリースを遅らせてください・・・あなたのビジネス上リリースを延長させても本質的に影響ないです・・・」とは言えないのだな。何より、仕事を受ける奴らが「品質ってエラーの数だよね?品質特性って、おまじないのこと?なんでシステムテストケースとかつくってんの要求策定段階で」という思想なのだよ。
で、お互いにプロジェクトが終わって年度末だから部署異動。保守フェーズでバグ大量発生。担当者は外部設計書にUIのキャプチャと「処理概要」と書かれた箇条書きの散文の塊を見て、これは無理だとソースを見て、影響範囲が分からなくて、ちょいとデグレ発生徹夜決定。恋人を作るヒマもなくて、日本経済に貢献できずにいるわけだった。ちなみに客はバグを治すためには金を払う*1
親会社は人手が足りないので外注を呼んで派遣ライクに請負させる*2。外注はさらに外注を呼び、その人達にノウハウが蓄積されていく。あるいは、実行計画が非効率になるコードを書く才能にあふれたコーダがしょうもない遅延を生じさせる。リポジトリは破壊され、バックアップはちりぢりに、机の上には昔おいた書類がそのままに。
泥。そう、泥の上にいた。何が悪いか。ノウハウをNDAに包んで逃げる外注か。プログラマが生きるこの環境を、品質を生み出すものとして開発時に作り込まないプロマネか。数字で未来を読もうとしない営業か。プロジェクト、一旦はじまれば、みんなガントチャートの海に飲み込まれ、大事なものを忘れていく。人生があったはずだ。もう何年も足踏みしている、先に進まない人生が。
・・・目を瞑れば良かったんだ。幸せになれたのかもしれない。でも横にいるからね。仲間だからね。

*1:文句は言うが、システムを人質に取られてるのでベンダ入れ替えもできない

*2:違法