普通の女主人公はギャルゲーに出演可能なのか

「普通の女性」が出てくる物語で名作といえるのは「僕と、僕らの夏」でしょうか。早狩武志氏の書くシナリオは女性がある程度地に足がついた考え方を持っていると感じます。
今恋人がいたり、昔恋人がいたり、髪が通常の茶髪だったり、ギャル系のファッションをしていたり、仕事人間だったり、自己中心的だったり、メンタルヘルス系の病気にかかっていたり、キャバクラでバイトしていたり、洋服をヤフオクで売るのが趣味だったり、youtubeで洋楽ばっかり聴いている女性は、ヒロインとしてはとんと出てきません。腐女子も現実にいそうな人は出ませんね。ゴスロリも少ないですし、海外放浪癖のある女性も見たことないですね。全部、二次元の話であって、三次元ではありふれた人たちです。
女性の数十%は稲中卓球部の背景に登場する女性なわけです。そういう人物を恋愛劇に登場させて、なおかつ商業的に成功する、というのはとても難しいことです。現実の追体験をしてしおらしくなるために高い金払ってDVD買っているわけじゃねえという話です。性別と趣向別に支持される作品のパターンを考えると
女性慣れした男性向け→蛯原友里のような明るくて元気で綺麗な女性とエッチなことをする物語。
女性慣れしていない男性向け→可愛くて従順かつ暗くない女性、つまり知能指数が低いか年下の女性と恋人関係になる物語。エッチがあってもよい。
男性慣れした女性向け→とりあえずイケメン男子に囲まれる私。私は男関係はズボラだけど実はとっても愛情深い。そしてドロドロの恋愛劇が始まる。ときどきエッチもあるよ!
男性同士に慣れた女性向け→イケメン男子とイケメンだけどちょっと可愛い男子(イケメン同士というのもまた良し)が禁断の友情に葛藤しながらも最終的には結ばれる(やおい穴的な意味で)。
これらのニーズを的確に満たす作品は、イケメンだけどちょっと可愛い男子が美人な女性に性転換するというストーリーしか浮かばない。それでもスイーツ派を取りこぼしてしまう。マーケティングとはかくも難しいものであった。